埼玉高速鉄道線の概要

埼玉高速鉄道線は、東京都北区の赤羽岩淵駅から埼玉県川口市を通り、さいたま市緑区の浦和美園駅までを結んでいます。高速鉄道という名称ですが全列車が各駅停車です。
「埼玉スタジアム線（埼スタ線）」という愛称が付いているほか、「埼玉高速線」や「埼玉高速」とも呼ばれます。埼玉スタジアム2002でサッカーの試合が開催される日は、臨時列車も運行します。
浦和美園駅から県営サッカースタジアム、岩槻を経て蓮田までの約13kmの延伸計画があります。

埼玉高速鉄道線の混雑率

国土交通省による2019年度の調査によると、埼玉高速鉄道線の最混雑区間である「川口元郷駅→赤羽岩淵駅」の混雑率は、ピーク時の7時台であっても131%です。
埼玉県からの通勤者が多く利用する他の路線の混雑率と比べてみます。
● 埼京線：185％
● 京浜東北線：173％
● 高崎線：162％
埼玉高速鉄道線は混雑率が低く、比較的通勤が楽な路線であることが分かります。

出典:国土交通省

混雑率が131%というのは、ドア付近では乗客が密集しますが車内奥では全員が吊革につかまれる程度の混雑です。新聞を広げて読める150%を下回っているため、埼玉高速鉄道線ならスマホやタブレットの操作もでき、ゆとりをもって通勤できるでしょう。

都心に通勤するなら埼玉高速鉄道線がおすすめの理由

霞が関や永田町などのオフィス街に通勤するなら、埼玉高速鉄道線沿いに住むのはおすすめです。乗り換えなしで行ける溜池山王駅は国会議事堂前駅と改札内で接続しています。
その他おすすめの理由として、次の6つがあります。

1. 電車が空いていて快適に通勤できる

先ほど紹介した埼玉高速鉄道線の混雑率131%は、6両編成で運行されていた2019年度のデータです。2022年4月からは8両編成の運転が開始し、より快適に通勤できるようになりました。
全車両が8両編成になっているわけではありませんが、混雑が改善されてストレスの少ない通勤ができるでしょう。
また、最も混雑が激しい川口元郷駅と赤羽岩淵駅の手前の区間はもっと空いています。乗り始めの数駅だけであっても通勤ラッシュのピークを回避できるのは魅力です。

2. 都心にアクセスしやすい

埼玉高速鉄道線は東京メトロ南北線と相互乗り入れをしています。
南北線は東京都の目黒駅まで至り、その先の神奈川県の日吉駅まで結ぶ東急目黒線、更にその先の神奈川県の新横浜駅まで至る東急新横浜線とも直通運転を行っています。

駒込駅や四谷駅などをはじめ、乗り換えなしで神奈川県まで行けます。都内へ通いやすいため、埼玉県から都内へ通勤する方が多く利用しています。

3. 駅がユニバーサルデザインで誰でも使いやすい

埼玉高速鉄道線は全ての駅に身体能力の違いや年齢、性別、国籍に関わらず誰でも使いやすい設計（ユニバーサルデザイン）が取り入れられているのも特徴です。各駅にはホームドアが設置されていて、プラットフォームからの転落や列車との接触の心配がありません。
トイレの入り口などの段差にはスロープが設置されていますし、エレベーターがあるためベビーカーに赤ちゃんを載せたままホームまで行けます。授乳、おむつ交換、離乳食や着替えなどができるベビーケアルーム「mamoro™」が全駅に設置されていて、赤ちゃん連れのお出かけ時に便利です。

全ての階段にはエスカレーターを併設しているほか、つかまりやすい二段手すりがあるため身長が低い人や階段を上り下りしたがる小さい子と一緒でも安心です。

4. 駅で開催されるイベントを楽しめる

様々なイベントを埼玉高速鉄道線主催で行っているため、通勤のついでに買い物や体験が楽しめます。
埼玉高速鉄道線の各駅構内ではパンやスイーツなどを販売する駅マルシェが開催されています。曜日限定で新鮮な野菜を販売する「野菜収穫祭 駅ナカ産直」、日替わりのキッチンカーが出店する駅もあります。毎月の出店予定表は埼玉高速鉄道線の公式ページから確認できます。
引っ越してきた人にとっては地域の輪に溶け込む機会にもなるため、足を運んでみてはいかがでしょう。

5. 自然や緑地が多い

浦和美園駅の西側にはさいたま市と川口市にまたがる約千ヘクタールの大規模な緑地の「見沼たんぼ」が広がっています。「見沼たんぼ」には田んぼのみが広がるわけではなく、見沼氷川公園、見沼自然公園、さぎ山記念公園など自然がいっぱいの公園が散在します。
東川口駅の戸塚中台公園や戸塚榎戸公園をはじめとして各駅に大規模公園があり、戸塚安行駅までいけば赤山城址、興禅院など四季折々の美しい風景も楽しめます。
浦和美園駅から新井宿駅の周辺までは見沼代用水路に沿った総延長56.5kmの「緑のヘルシーロード」があります。

埼玉高速鉄道沿線は都内へ同程度の時間で通勤できる埼玉県内の駅の中では土地の価格が割安です。浦和美園駅と同じように永田町駅まで片道50分くらいの始発（途中始発）駅と浦和美園駅を比較します。

出典:SUUMO 埼玉県の土地価格相場情報

他の3駅が110万円/坪を上回っているのに対し、89.5万円/坪の浦和美園駅には値ごろ感があります。永田町をはじめとした都内主要エリアに乗り換えなしでアクセスできる点からも、浦和美園駅はコストパフォーマンスに優れているといえます。

各駅の乗降客数

埼玉高速鉄道が公表している駅別輸送人員をもとに、1日当たりの乗降客数¹を一覧にします。

出典:埼玉高速鉄道

最も人数が多いのは赤羽岩淵駅で始発駅の浦和美園駅は1万人程度です。コロナが落ち着いて全ての駅で乗車人数は増えつつありますが、浦和美園駅なら座って通勤できる確率が高いでしょう。

¹ 相互乗入れを行っているため厳密には乗降客数＝駅別輸送人員とはなりませんが、だいたいの人数は同じです。

運賃の特徴

埼玉高速鉄道は初乗り運賃が都内で最も高い路線の1つとして知られています。初乗り運賃は210円となっており、東京メトロの170円と比べて割高です。
また、赤羽岩淵駅から浦和美園駅までの運賃は480円です。1キロメートル当たりの運賃は32.8円で、初乗り運賃が同額の「北総鉄道」の26円を上回っています。
2001年に運転を開始した新しい路線であり、建設費が上乗せされているためと考えられます。運賃の高さは埼玉高速鉄道の唯一のデメリットですが、通勤する際の定期代が全額会社支給なら気にする必要はないでしょう。

埼玉高速鉄道の駅

埼玉高速鉄道は全ての駅がおすすめなため、8駅全てを紹介します。駅ごとの土地相場は以下です。

それぞれの駅の商業施設や乗り入れ路線、特色などを紹介します。

■ 浦和美園駅

浦和美園駅から徒歩3分の立地には大型ショッピングモールのイオンモール浦和美園店があります。飲食店から映画館、スポーツクラブ、リラクゼーションまで施設が充実していて、日常の買い物だけでなくレジャーも楽しめます。11の診療科が入っている「メディカルクリニック ドクターランド」は子供も受診できるため便利です。
アジア最大級のサッカー専用スタジアム「埼玉スタジアム（埼スタ）」が駅から徒歩約15分の近場にあるのも特徴です。1.2kmの歩行者専用道路も整備されていて、サッカー観戦のため駅周辺からスタジアムに向かうのに便利です。「埼玉スタジアム2002公園」にはサブグラウンドやフットサルコートだけでなくボールで遊ぶこともできる芝生広場やサッカーボール型のジャングルジムなどもあり、普段から家族で楽しめるでしょう。

浦和美園駅周辺は、桜並木もある見沼用水路沿いの「緑のヘルシーロード」、レッサーパンダをはじめとした38種の動物がいて釣りもできる「大崎公園」など自然に触れることができる環境です。
夏には県営のプールとしては最大規模の「しらこばと水上公園」への直通シャトルバスも出ます。

浦和美園駅から永田町駅までは49分です。
埼玉高速鉄道の始発駅なのに土地相場は89.5万円/坪ほどと値ごろ感があるのも魅力です。

浦和美園駅周辺は始発駅のため、朝のラッシュ時でも座って快適に通勤したい方におすすめです。

■ 東川口駅

東川口駅周辺には西友 東川口店、ダイエー 東川口店、マルエツ 東川口店などのリーズナブルなスーパーマーケットがあります。ヤマダ電機テックランド東川口店やマツモトキヨシ 東川口駅前店などの薬局、セリア 東川口店やDAISO オリンピック東川口店などの100均もありますし、武蔵野線側と東側のけやき通りには商店街もあって普段の買い物の幅も広がるでしょう。
昆虫のオブジェのある「戸塚中台公園」、多目的グラウンドのある「戸塚榎戸公園」、湿地帯の自然を残した「川口自然公園」などの大きな公園があります。
「戸塚中台公園」には中に入って遊べるじゃぶじゃぶ池があり、特に小さな子供に人気です。

東川口駅から永田町駅までは46分です。
埼玉高速鉄道のほか、JR武蔵野線が利用できます。武蔵野線の終点は西船橋駅ですが、西船橋駅から先の京葉線に乗り入れる電車もあり、幕張メッセの最寄り駅である海浜幕張駅まで乗り換えなしで行くこともできます。
土地相場は96万円/坪と浦和美園駅より少し高いですが、2路線使える利便性は魅力です。
東川口駅周辺は神奈川県横浜市や千葉県船橋市など、東西への移動も多い方におすすめです。

■ 戸塚安行駅

戸塚安行駅周辺の安行地区は「安行の植木」というブランド名もある植木の街です。道の駅の「川口・あんぎょう」横にある「川口緑化センター 樹里安（じゅりあん）」では花と緑に関する各種展示会やイベントを頻繁に開催しています。
駅前には大型スーパーのフードガーデン戸塚安行駅店、少し歩けばディスカウントスーパーのアコレ川口戸塚6丁目店もあります。樹木の街なだけあり、自然に囲まれた落ち着いた住宅街が広がっています。
県内で一番高い木造建築物の三重塔や100体の観音像がある「西福寺」や植物の街の安行八景に選ばれた花と紅葉で有名な「興禅院」など、魅力ある歴史的建造物もあります。

戸塚安行駅から永田町駅までは43分、土地相場は値ごろ感があり85万円/坪です。
戸塚安行駅周辺は緑豊かで閑静な住宅街に住みたい方におすすめです。

■ 新井宿駅

新井宿駅周辺にはイオンスタイル 新井宿駅前店をはじめ、西友 川口赤山店、ドン・キホーテ 川口新井宿店などがあり、日常生活に必要な商品が揃います。飲食店は少なめで、のどかな雰囲気の中に一戸建てが立ち並ぶエリアです。岩槻街道（国道122号線）も近いため、車のお出かけもしやすいでしょう。

植物園の川口市立グリーンセンターは広々とした公園で四季折々の美しい自然を楽しめます。ゴムチップ舗装の地面に木製遊具のあるちびっこ広場、全22種類のフィールドアスレチック遊具が楽しめる冒険の森など、年齢に応じて遊べるエリアもあります。ミニ鉄道や展望すべり台も人気があり、子連れだと1日では回り切れないほど園内は充実しています。

新井宿駅から永田町駅までは40分です。
土地相場は58.4万円/坪と、埼玉高速鉄道沿線の中でも格安なエリアです。
新井宿駅周辺は家にかける費用を抑えつつ、緑に囲まれた生活を送りたい方におすすめです。

■ 鳩ヶ谷駅

鳩ヶ谷駅周辺には、ディスカウントスーパーのアコレ 鳩ケ谷駅前店、スーパーマーケットのサミットストア 鳩ヶ谷駅前店、西友 鳩ヶ谷店などがあります。駅東側には約20店舗が軒を連ねる昔ながらの商店街もあり、生活に必要な物は近場で買えます。
岩槻街道に面していて大型家具店のニトリ 鳩ヶ谷駅前店、大型アパレルショップのアベイル 鳩ヶ谷里店、大型家電量販店のコジマ×ビックカメラ 鳩ヶ谷店などもあります。

マンションもありますが少し鳩ヶ谷駅から離れると戸建てのエリアが広がります。駅前に大きなパチンコ屋がありますが、すぐ横に埼玉県武南警察署もあるため治安の心配はいらないでしょう。
映像ミュージアムの「SKIPシティ 彩の国 ビジュアルプラザ」は子供向けのイベントが多く、夏にデジタルシネマ映画祭も楽しめます。

鳩ヶ谷駅から永田町駅までは37分です。
埼玉高速鉄道沿線の上り方面の途中始発駅なのに、土地相場は93.5万円/坪とリーズナブルです。
平日は朝5時台と6時台に1本、7時台に2本、8時台と9時台に4本、10時台に3本の鳩ヶ谷駅発列車があります。
土日は本数が減り、5時台1本、8時台3本の始発があります。
鳩ヶ谷駅周辺は途中始発駅のため、少し並んでも朝から座って通勤したい方におすすめです。

■ 南鳩ヶ谷駅

南鳩ヶ谷駅周辺には大きな商業施設はありませんが、エフマート greensやコモディイイダ 南鳩ヶ谷店などのスーパーが点在しています。コンビニエンスストアやディスカウントスーパーのアコレ 南鳩ヶ谷店、芝浦川を渡れば業務スーパー 川口八幡木店もあるため、買い物に困ることは無いでしょう。

近くを流れる新芝川の堤防は芝川自転車道というサイクリングロードになっています。自転車屋さんが多く芝川自転車道はサイクリストに人気なほか、散策やランニングにも適しています。
リサイクルプラザの余熱利用施設「サンアール朝日」には遊泳や歩行浴用のプール、ジェットバス、サウナ、浴室などがあって安く利用できます。

南鳩ヶ谷駅から徒歩約16分の「川口オートレース場」では川口市の夏祭りのたたら祭りが開かれます。キャラクターショーや屋台、花火などを帰りの電車を気にせず楽しめるのも良いですね。

南鳩ヶ谷駅から永田町駅までは35分、土地相場は89.5万円/坪で値ごろかんがあります。
南鳩ヶ谷駅周辺はランニングやサイクリング、オートレースなどが好きな方におすすめです。

■ 川口元郷駅

川口元郷駅周辺は再開発による高層マンションが立ち並んでいます。土地相場は浦和美園駅より高い145.9万円/坪ですが、少し駅から離れるとリーズナブルな価格の住宅街が広がります。
国登録有形文化財の旧田中家住宅や川口の文化財の旧鋳物問屋鍋平別邸といった、趣ある建物も点在します。歴史が好きな人なら川口の歴史について学べる川口市立文化財センターも楽しいかもしれません。

普段の買い物にはスーパーのヤオコー 川口本町店や家電量販店のヤマダ電機テックランド 川口本店が入っている「ミエルかわぐち」が便利です。雑貨屋や衣料品店、薬局、飲食店など多彩な店舗が入っています。

川口元郷駅から永田町駅までは32分、土地相場は145.9万円/坪と少し高めです。
川口元郷駅周辺は都心への近さと落ち着いた住環境を両立させたい方におすすめです。

■ 赤羽岩淵駅

赤羽岩淵駅は東京メトロ南北線が乗り入れるうえに徒歩圏内にはJR赤羽駅もある、交通アクセスが非常に便利なエリアです。地域の人が日常的に利用する小さなスーパーが多くあります。赤羽駅まで歩けば大型スーパーマーケットのイトーヨーカドー 赤羽店もあり、日常の買い物に便利です。

赤羽は「1,000円でべろべろに酔える」といわれるほど料金が非常に安い酒場の多い、せんべろの街としても有名です。特に赤羽岩淵駅と赤羽駅の間にある「赤羽一番街」は、昭和の雰囲気を感じさせる数多くの居酒屋が集まっていて人気があります。

緑豊かな河川敷も赤羽岩淵の魅力の一つです。新河岸川や荒川の河川敷にはグラウンドやバーベキュー場、公園などがあります。日々の喧騒から離れて自然の中でリフレッシュするのにぴったりでしょう。

赤羽岩淵駅から永田町駅までは29分、土地相場は241.2万円/坪なので浦和美園駅のおよそ2.7倍です。
東京方面にも出やすいアクセスの良さや都心への近さを考えると、土地相場相応の価値があるエリアでしょう。
都心まで30分を切る便利なアクセスを求める方におすすめです。

まとめ

ここまで紹介してきた通り、埼玉高速鉄道線の沿線は都内への通勤に便利な住みやすいエリアです。
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